演奏する身体を作るための参考書

こんにちは。UENO Karen です。

Obfendさんに、フィンガネス・エクササイズの本をお薦めしましたけど（詳細はこちら）、演奏のために体を整える or 怪我を防ぐためには、他にも良い本がたくさん有るんだよなー、と気になっていたのを、ようやくまとめました。

１　J.R.i Liobet & G.Odam　「音楽家の身体メインテナンスBOOK」（春秋社）
どれか一冊を、と言われたらこれをお薦めします。2冊め以降の本にあるようなマニアさは無いけれど、肉体の解剖学的な記述からメンタル面までの幅広い守備範囲と、特定のメソッドにかたよらない内容に好感が持てます。例えばオーソドックスな柔軟体操とストレッチが載っているのですが、効果抜群です。楽器やるなら最低これくらいは押さえるべきなんじゃないの、という内容。

２　矢田部英正「からだのメソッド　ー立ち振舞いの技術」（バジリコ株式会社）
一見楽器とは関係の無い内容ですが、ぜーったいにお薦め。秀逸な本です。立ち方、座り方、歩き方などを懇切丁寧に解説してあるのですが、日本の着物や履物と、洋装との違いから解きほぐす具体的な記述には深く納得させられます。そして、すぐに練習できます。「正しい姿勢」についての理解が根本から変わります。何よりも、いわゆる「肚のすわった」とか「腰の入った」などといわれる、ともすれば精神論に流れそうな姿勢についてもきちんと解説されているのに感激。どこにも力みが無いのにどっしりと安定した、セゴビアみたいな構えが身につくかも!!　
姿勢に自信が持てるようになると、人と会うのが怖くなくなります。ひいては、発表会などで舞台に出ていくときの気持ちも全く変わります。新田祥子「あがらない話し方教室」（JMAM）などと組み合わせて、あがり対策に使うことも出来ると思います。

３　B.Conable「音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと—アレクサンダー・テクニークとボディ・マッピング」（誠信書房）
いわゆる「ボディ・マッピング」…　自分の頭に描かれている自分の肉体構造と現実の肉体構造のズレを解消することによって、効率的で自然な身体の動かし方を身につけるためのテキスト。解剖学的な内容を、演奏するという行為に照らして音楽的に記述していますが、訳がいまいちこなれていないのが残念。しかし、第三者の目では気がつかない些細な（しかし重要な）違いが発見できるので、自分の楽器の持ち方・演奏方法がいまいちしっくりこない…　という人にお薦め。わたしに効果のあった具体的な例をあげると、鎖骨から指先までの関節の位置と動き方を理解することで、左手の指が6弦まで楽に届くようになり、セーハーにも無理がなくなった。ウエストに関する誤解を解消し、骨盤と背骨の関係を正しく理解することで、演奏中でもリズムに合わせて自然に上体が動くようになった。などなど。

４　神原 泰三「フィンガネス・エクササイズ―5分で演奏モードの身体をつくる」（音楽之友社）
気功をもとにした、独特の体操がたくさん載っています。残念なことに、解説文がいまいち舌足らずというか、もったいない。しかし、相性次第で本当に効果のあるエクササイズもありますので、ぜひ実際に体を動かして試してみて下さい。力まずに身体の隅々まで神経を鋭敏にするということを理解できます。また、わたしにとっては、演奏後の身体の歪みを解消するのに、普通のストレッチよりも効果があるようです。演奏時以外の不調…パソコンの使いすぎ、雪かきの後、にも使っています。

５　おまけ「クロワッサン特別編集 最新版・からだのツボの大地図帖」 （マガジンハウスムック）
なんだか指がしびれる、とか、どうも手首がいたい、などなどの不調のときに引っ張り出して試すと、にびっくりするような効果があったことも。（実験は自己責任でお願いします。）しかし現在では、１〜４の本をじっくり読んで実行することでほとんど出番がなくなり、お守り的な位置に降格している。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。

しかし、インターネットの普及で本当に便利になりました。通販で楽譜やギター用品を買えるし、youTubeやiPhoneで簡単に演奏を聴けるようになりました。先日、電子チューナーを買ったので、音叉を耳の中に入れて音を合わせることもなくなりました。